大会長ごあいさつ

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大会長ごあいさつ

画像が示すもの - Pathology, Function, or Fake?

大会長 吉満 研吾

第43回日本画像医学会 大会長を拝命した 福岡大学医学部放射線医学教室の吉満でございます。この度は歴史ある本会の大会長に指名頂き、理事長の陣崎雅弘先生初め、理事会の先生方、関係各位に深謝申し上げます。

本会は画像、病理、臨床のトライアングルを極めることを基本テーマにしつつ、各回の大会長が様々な味付けをして開催されてきました。今回、私はさらにfunction(機能)、そしてfake(下記参照)を加えてテーマにしてみました。

病理(pathology)との対比は、言うまでもなく基本中の基本で、従来病理学的特徴をどのように画像情報から読み解くか、が重点的に行われてきました。しかしながら、必ずしも病理のほうが画像より疾患の本質を表しているとも限らず、場合によっては画像から特定の疾患が示唆され、HE染色だけでは診断できていなかった疾患が適切な特殊染色を施行することで正しく診断された例も経験されます。機能については、単純に「形態は機能を表す」という意味での機能もありますし、分子免疫組織化学的情報を反映する画像、もしくは機能そのものを表現する画像技術等も進歩し開発されてきました。そして、最後の“Fake”には従来の古典的artifactに加え、これらの新しい技術に伴って出てきた特異的artifactも含めて考えています。 特に昨今話題のradiomics/radiogenomics、AI技術(様々な再構成法、CAD, GPT-4 etc)に伴う特有のbiasやそれによるerrorについては、解っているものもあれば未知のものもあると想定されます。卑近な例では、deep learningを用いた画像再構成はradiomicsの結果に影響しないのか、等です。これらをしっかり把握していないと間違った方向に簡単に誘導されてしまいます。

画像が包含するこれらの潜在的に非常に大きな情報を咀嚼・理解し、正しく臨床家に届けることが放射線科医の役割だと考えています。前述したようなPathology, Function, そしてFakeを全ての領域でカバーすることは難しいとは思いますが、各領域で少しずつでもそのヒントを感じていただけるようなprogramにしたいと思っています。私自身、大変楽しみにしております。

実りある会になりますようスタッフ一同精一杯準備いたしますので、皆様の多数のご参加をお待ちしています。

第43回日本画像医学会
大会長 吉満 研吾

福岡大学医学部放射線医学教室