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放射線、病理、臨床のトライアングルの先に:Multidisciplinary Medicineの実践を目指して

大会長 山口 岳彦

第44回日本画像医学会を主催させていただくことになりました獨協医科大学日光医療センター病理診断科/病理部の山口です。

日本画像医学会は、放射線、病理、臨床のトライアングルを基本理念に、ひとつのシンポジウムを各分野のエキスパート3人が担当するという大変ユニークな画像診断学の学会です。例年多くの出席者から大いに勉強になったといったうれしいご意見を頂いてきました。このトライアングルは20世紀の偉大な骨病理医であったHenry L. Jaffeの教科書に記載され、それ以降Jaffe’s triangleと呼ばれ骨関節疾患を対象とする医療人にはよく知られています。この理念は骨腫瘍の診断・治療には放射線科医・病理医そして臨床医の協力が不可欠であり、お互いが協力して行うべきであるというものです。この考え方は骨腫瘍に限られたものではなく、例外はあるものの多くの医療現場に当てはまるものだと思います。

多様化と呼ばれる現代、医療の現場も例外ではなく多くの医療分野が著しい発展を遂げ各分野の専門性がより顕著になってきています。専門性が求められ細分化された現代の医療現場では、必ずしも三角形だけではなく、四角形、五角形、あるいはそれ以上の連携が必要になってきています。医療現場が多角化・多極化してきてるとはいえ、画像診断という放射線科、組織・分子病理診断という病理、内科・外科・リハビリテーションなどを含む診療科が属する臨床という大きな三角形に集約され得ると思います。そこで本学会では、この基本的な三角形を臨機応変に多角化するmultidisciplinary medicineを実践するということを基調テーマにさせて頂きました。

医療であるからこそ専門性が求められると同時に、専門性一辺倒ではない多面的な広い視点も求められます。多くの医学会が専門性を求めるのに対し、本学会は一歩引いた広い視野から疾患を見つめ、同時に各分野の専門的知識を学び吸収することのできるのが特徴です。今回の学会では、本学会員の多くを占める放射線科の先生方の関心の高い話題に加え、私が専門とする骨関節疾患にやや注力するとともに分水嶺領域とも呼べる各診療科の狭間に埋もれやすい疾患にも目配りするようなプログラムを検討しています。

各分野の専門家を交え、より一層活発な討論・意見交換ができる日本画像医学会を目指したいと思います。スタッフ一同、多くの方々の参加を心よりお待ち申し上げます。

第44回日本画像医学会
大会長 山口 岳彦

獨協医科大学日光医療センター病理診断科/病理部